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「施設外就労」・「施設外支援」とは
事業所とは違う場所で行われる支援として、「施設外就労」「施設外支援」があります。
「施設外就労」「施設外支援」は、利用者の方々にとっては、一般就労に近い形で働く経験を積むことができ、意欲の向上等にも繋がるなど、とても大切な支援となっています。
また、受け入れ側である企業等においても、障がい者雇用についての理解が深まるなど、意義が大きな支援となっています。
「施設外就労」「施設外支援」は、文字は似ていて混同されやすいのですが、これらは、全く異なるものです。
ざっくり違いをお伝えすると
「施設外就労」は、企業等から請け負った作業をその企業等で行う支援
「施設外支援」は、企業等で行われる「企業実習」等への支援
のことを言います。
ポイントを比較して表にしてまとめました。
施設外就労と施設外支援の比較表
施設外就労 | 施設外支援 | |
対象サービス | 就労移行支援
就労継続支援A型 就労継続支援B型 |
就労移行支援
就労継続支援A型 就労継続支援B型 |
支援の場所 | 請負先の企業 | 事業所以外 |
施設外への職員の配置 | 必要 | 不要 |
サービス利用回数 | 定めなし | 利用者1人あたり
原則年180日以内 |
利用者数 | 指定時の利用定員とは別に
その利用定員と 同じ人数まで可能 |
指定時の利用定員 |
個別支援計画 | 必要 | 必要 |
運営規程 | 必要 | 必要 |
緊急時の対応 | 必要 | 必要 |
「施設外就労」と「施設外支援」について以下に具体的にご説明いたします。
施設外就労とは
指定を受けた場所(事業所施設)とは別の場所で行われる支援で、企業等から請け負った作業をその企業等で行う支援のことです。
対象サービス
就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型になります。
利用者数
① 施設外就労の総利用者数については、利用定員を超えないこと。★1
② 施設外就労により就労している者と同数の者を主たる事業所の利用者として、新たに受入れることが可能であること。★2
★1 例えば、定員20人で指定を受けている事業所の場合、 施設外就労に行くことができるのは、1日20人までです。 施設外就労の利用者数が定員を超えた場合、その日の施設外就労に行った利用者全員分について、報酬を請求することができません。
★2 例えば、定員20人で指定を受けている事業所の場合、施設外就労を行うその1日につき、事業所内で20人、施設外就労として20人、計40人利用することができます。
職員配置
① 施設外就労については、その施設外就労を行う日の利用者数に対して 報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による。)の職員を配置する必要があります。
② 事業所については、施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による)の職員を配置する必要があります。★1・2
③ サービス管理責任者の配置は、施設外就労を行う利用者を含めた前年度の平均利用者数に対して配置する必要があります。★3
★1 施設外就労先では、人員配置基準に応じて、報酬算定上必要とされる人数の職員を配置する必要があります。その際、賃金向上達成指導員や目標工賃達成指導員は含まれません。
例えば、人員配置区分7.5:1の就労継続支援B型事業所の場合
施設外就労に行った利用者が
1~7人の場合 → 生活支援員または職業指導員1人
8~15人の場合 → 生活支援員または職業指導員2人
を、施設外就労先に配置する必要があります。
(考え方の計算例:利用者8人のとき 9人÷7.5=1.2人)
また、管理者・サービス管理責任者は事業所に残る必要があります。
★2 (事業所内での就労継続支援B型事業の延長として施設外就労を行う形態ではなく)施設外就労を基本とする形態で就労継続支援B型事業を行う場合であっても、本体施設には、管理者及びサービス管理責任者の配置が必要です。
書類関係
① 利用者の個別支援計画に、施設外就労を行うことについての記載が必要です。
個別支援計画は事前に作成され、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行の助けとなることが認められることが必要です。★1
② 訓練目標に対する達成度の評価等を行い、その結果、必要と認められる場合には、施設外就労の目標その他個別支援計画の内容の見直しを行うことも必要です。
③ 事業所の運営規程の中で、施設外就労を行うことが規定されていることが必要です。★2
④ 事業所において、施設外就労に関する実績報告書の作成・保存が必要です。
★1 以下のことを適正に行うために、利用者一人一人について、施設外就労の内容に応じた適性や効果を把握できるよう、支援状況を丁寧に記録し、事業所内で共有しましょう。
・利用者一人一人に対して、施設外就労を始める前に、 施設外就労の適性、実施した場合の効果や個別の目標を丁寧に話し合い、個別支援計画に施設外就労の内容や目標等を記載する。
・施設外就労についての達成度の評価を行う。 達成度の評価を行ったことがわかるように具体的に記録を残す。(いつ、どこで、どの職員が、どのような話をしたか、利用者からどのような話があったか等)
・就労先自体や業務内容、目標が変わった場合は、個別支援計画の内容の見直しを行う。
★2 施設外就労を実施することに伴い、運営規程を変更した場合は、変更届を提出する必要があります。してください。
支援時の対応
施設外就労先では、利用者の指導等は、必ず事業所職員が行う必要があります。
施設外就労先の職員が行ってはいけません。
具体的には、以下の点に気をつける必要があります。
① 緊急時の対応ができること。
② 報酬の適用単価については、主たる事業所の利用定員に基づく報酬単価を適用すること。
③ 施設外就労に随行する支援員は、就労先企業等の協力を得て、以下の業務を行う。
(ア) 事業の対象となる障害者の作業程度、意向、能力等の状況把握
(イ) 施設外就労先の企業における作業の実施に向けての調整
(ウ) 作業指導等、対象者が施設外就労を行うために必要な支援
(エ) 施設外就労についてのノウハウの蓄積及び提供
(オ) 施設外就労先の企業や対象者の家族との連携
(カ) その他上記以外に必要な業務
④ 請け負った作業についての利用者に対する必要な指導等は、施設外就労先の企業ではなく、事業所が行うこと。
⑤ 事業所は請け負った作業を施設外就労先の企業から独立して行い、利用者に対する指導等については事業所が自ら行うこと。
⑥ 事業所が請け負った作業について、利用者と施設外就労先の企業の従業員が共同で処理していないこと。
⑦ 利用者と事業所との関係は、事業所の施設内で行われる作業の場合と同様であること。
請負契約
施設外就労先の企業とは、請負作業に関する契約を締結する必要があります。
その際は、以下のことに留意しましょう。
1. 請負契約の中で、作業の完成についての財政上及び法律上のすべての責任は、事業所を運営する法人が負うものであること、が明確にされていること。
2. 施設外就労先から事業所を運営する法人に支払われる報酬は、完成された作業の内容に応じて算定されるものであること。
3. 施設外就労先の企業から作業に要する機械、設備等を借り入れる場合には、賃貸借契約又は使用賃借契約が締結されていること。
また、施設外就労先の企業から作業に要する材料等の供給を受ける場合には、代金の支払い等の必要な事項について明確な定めを置くこと。
施設外支援とは
指定を受けた場所(事業所施設)とは別の場所で行われる支援で、企業等で行われる「企業実習」等への支援のことを言います。
対象サービス
就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型になります。
利用者数と利用日数のルール
利用者の人数は指定時の利用定員が限度になり、施設外支援の利用者数と事業所内での支援の利用者数を合わせた人数が、利用定員になります。
1人の利用者の実際に施設外支援を利用する日数:利用日数は、1年間(毎年4月1日に始まり翌年3月31日に終わる1年間)で、180日が限度となっています。
職員配置
施設外支援は「企業実習」など、企業が主体で行われる支援なので、職員配置の要件はありません。
書類関係
① 利用者の個別支援計画に、施設外支援を行うことについての記載が必要です。
個別支援計画は事前に作成され、必要な見直しが行われ、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行の助けとなることが認められることが必要です。
② 施設外支援の間の日報の作成が必要です。
③ 事業所の運営規程の中で、施設外支援を行うことが規定されていることが必要です。
支援時の対応と注意点
施設外支援の提供期間中における緊急時の対応ができることが重要です。
また、施設外就労と違い、決して実習受入れ企業から労働の対価となりうる金銭を受け取ってはいけません。
「施設外就労」「施設外支援」について、わかりづらかった点や具体的なご質問などがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。