処遇改善加算の算定を検討なさいませんか?

福祉・介護職員等処遇改善加算とは

何だかとにかくややこしそう
手間ばっかりかかるのでは?
要件が複雑そう
開業したてで、みんな経験も浅いし無理なのでは?
しょっちゅうルールが変わっているイメージで大変そう

様々な理由で算定されていない事業所がとても多いのが「福祉・介護職員等処遇改善加算」ではないでしょうか。
でも、そんな事業所の方こそ、ぜひ一度ご検討されることをお勧めいたします!

処遇改善加算とはどんな加算でしょうか。
それは、
「職員のお給料のアップに使ってね」という加算です。
毎月毎月、その月の報酬(売り上げ)に対して何%という加算額になり、その全額を職員のお給料にのみ充てる加算です。
つまり、利用実績である報酬(売り上げ)が上がればその分処遇改善加算の加算額も上がり、職員のお給料も上がります。

では、どのような要件を満たしている事業所が算定することができるのでしょう。
職員がどれくらい働きやすいか、資格を持っていたり経験値が高い職員がちゃんと評価されているか、技術の向上の支援があるか、昇給の仕組みがわかりやすくて目標を持てるか、など、職員:福祉・介護職員等の労働環境等が整備されていることが主な要件となっていて、それがどの程度整備されているかでサービス毎に加算率が異なっています。

「労働環境」と聞くと難しそうなのですが、実際に既に要件の幾つかに当たる取り組みを行われている事業所は非常に多く、また、現在既に処遇改善加算を算定されている事業所でも、具体的に取り組みの現状を確認すると、現在算定されているものより、高い加算率のものを算定できるケースもあるようです。

令和6年度からの処遇改善加算は

令和6年4月5月までは、「福祉・介護職員処遇改善加算」、「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」、「福祉・介護職員等ベースアップ加算」の3つに分かれていましたが、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、令和6年6月からは「福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」に一本化されました。
(一本化される前の令和6年5月31日時点でそれまでの3つの加算を算定している場合には、その算定状況に応じた経過措置区分として、令和6年度末までの間はそれぞれ新加算Ⅴ(1)~(14)を算定できることとなっています。)

対象となるサービス

計画相談支援・障がい児相談支援・地域相談支援(移行・定着)以外の障害福祉サービス(障がい児支援含む)が対象となります。

手続き

加算の算定には、届出が必要で、年度ごとの届出になります。

どれだけの加算金が算定されるかの考え方

新加算の単位数として、サービス別の基本サービス費に各種加算減算(処遇改善加算を除く。)を加えた1月当たりの総単位数に、加算区分ごとに、サービス別の加算率を乗じた単位数が算定されます。
つまり、
ひと月当たりの基本報酬に、処遇改善加算以外のその時算定している他の加算や減算を足した「ひと月当たりの総売り上げ」に、サービス別の処遇改善加算率を掛け算して出てくる金額が、その月の処遇改善加算での加算金額になります。

例えば、生活介護事業所において、加算区分:新加算Ⅰを算定している場合で、
処遇改善加算金以外の加算減算を足したひと月の売り上げが5,000,000円だった月は
5,000,000円 × 8.1% = 405,000円
405,000円が、その月の処遇改善加算金として入ってきます。

処遇改善要件とサービス加算率 ダウンロード

他の加算と違う大切なルール

賃金改善の実施に係る基本的な考え方=処遇改善加算金の使い方

1.処遇改善加算金は、全額従業員に支給すること。

処遇改善加算金は、事業所の利益にしてはダメで、全額、職員に支給しなければいけませんし、処遇改善加算金があるからと言って、元々のお給料を引き下げてはいけません。
実際に支給する総額としては、処遇改善加算金に事業所側が1円でも多く上乗せすることも要件となっています。
また、支給のときは、「毎月支払われる手当・基本給」、「その他の手当・一時金」として支給する必要があります。
その中でも、月々の基本給による賃金改善が望ましいとされています。

職種間の賃金配分については、福祉・介護職員への配分を基本とし、特に、資格を持って長く働いている職員に手厚くするということが望まれますが、その他の職員への配分も含め、各事業所が設定することができます。

2.報告の義務

他の加算と違って、支給用途や方法が限定されていることから、毎年その年度ごとに使途等を報告する「実績報告書」の提出が義務付けられています。

算定のための要件

要件にはまず以下の1~8があり、どの要件をどのように満たしているかで、加算区分が変わり、加算率も変わります。

1.月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善)
2.月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善)
3.キャリアバス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)周知
4.キャリアバス要件Ⅱ(研修の実施等)周知
5.キャリアバス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)周知
6.キャリアバス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)
7.キャリアバス要件Ⅴ(配置等要件)
8.職場環境等要件

上記のうち、1および2は、入ってきた加算金を実際に職員へ配分する際に守らないといけないルールになっています。
これは、他の加算と違う大切なルールでもお伝えしていますが、この処遇改善加算が、職員に対する安定的な処遇の改善を目的とするものであることから、できるだけ、毎月決まって支払われる手当⦅基本給等(定額でなくてもOK)》として支払われる割合を高くするように、と配分ルールが定められています。

3、5については、うちの事業所は立ち上げたばっかりで従業員も少ないし、就業規則作っていなくて…と途方に暮れ、もう無理、と思われている事業所も多いようですが、そんなことはありません。ポイントを押さえた規定を整えることができれば、算定できます。

4は、福祉・介護職員の資質の向上を目指す取り組みをしているかどうか、になります。既に行われていることが多いものなので、検討の余地があります。

6は、処遇改善加算等の算定によって賃金改善された後の賃金の見込額が年額440万円以上の福祉・介護職員が1人以上いること、となっています。
この6が無理だから算定を諦めている、という事業所も多いようですが、合理的な説明がつく場合は、この要件を満たすことができていない状態でも算定できます。
また、この要件を満たしていれば、より加算率の高い加算区分の処遇改善加算を算定することができますが、満たしていなくても、加算区分が変わるだけで、処遇改善加算自体は、算定できます。

7は、福祉専門職員配置等加算を算定されていること、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護では特定事業所加算を算定されていることが、配置等要件に当たります。
6と同様に、この要件を満たしていれば、より加算率の高い加算区分の処遇改善加算を算定することができますが、満たしていなくても、加算区分が変わるだけで、処遇改善加算自体は、算定できます。

8の職場環境要件は、
・入職促進に向けた取組
・資質の向上やキャリアアップに向けた支援
・両立支援・多様な働き方の推進
・腰痛を含む心身の健康管理
・生産性向上のための業務改善の取組
・やりがい・働きがいの構成
の6つの区分に分かれ、それぞれの中でまた取り組みが幾つかに分かれていで、どれだけの区分を、どのような内容で取り組んでいるか、が図られます。
多くの事業所では、既に取り組みをされていることも多い内容となっていますので、あらためて一つ一つ見直しをされることが大切かと思います。

また、上記1~8以外にも、処遇改善加算の内容を職員全員に周知すること、事業所がこのような取り組みをしていることについて「障がい福祉サービス等情報公表システム」やホームページでの公表が「見える化要件」となっています。

これら要件は、算定の届出をする前に整えなければいけないこと、と、要件ではありますがそれを実際に行うのは算定後(例えば加算金が支給されてからの振り分け時など)であること、などが混ざっています。
「届出はあくまで計画書であること」にも留意されながら考えることも大切では、と思います。

今の状態で処遇改善加算が取れるかどうか
要件の説明をしてほしい
届出はしたけど、賃金規程とか、これで大丈夫?
加算金の配分がわからない

実際に要件としてはたくさんあるので、どうしてもややこしい印象になります。
そんな時こその専門家。
そんな時こその行政書士です!
どんなことでも構いません。
事業所に合わせたご提案をさせていただきたいと思っています。
どうぞ、一度お気軽にご相談くださいませ。

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